代表からのメッセージ

“あなたにとっての最高のスタートライン”を理解していただくために、
代表取締役社長・大野光政が、東京濾器の「過去・現在・未来」をありのままに語ります。

代表取締役社長 大野光政

1952年生まれ。大学卒業後、商社~家業を経て、2000年に東京濾器株式会社に入社。2004年に代表取締役社長に就任。

「等身大の東京濾器を見てほしい。」

「いい仕事」「いい会社」の基準は人それぞれ。
だからこそ“等身大の東京濾器”をお伝えしたい。

まず初めに、これから新しいスタートラインに立とうとされている皆さんに、考えていただきたいことがあります。それは、いま選ぼうとしている場所が“自分の歩む道”として相応しいかどうかです。そのように言うと「何を当たり前のことを」と思う人もいるでしょう。しかし現実問題として、社会に出てから「自分が思っていた会社とは違う」と後悔する人もいるのです。「そのときに方向転換すればいい」という考え方もできますが、会社も、あなた自身も“時間”というかけがえのないものを失うことになります。
双方のミスマッチをできる限り回避するためには、最初の段階で“社風”も含めて当社のことを理解していただくことが必要だと思います。例えば、もし「同僚を蹴落としてでも出世したい」と考える人には、当社は向かないでしょう。向上心の方向性が、チームの力で成功を掴み取る当社の社風に合わないからです。また、世間的に「いい会社」といわれる会社でも、それがあなたにとって「いい」なのかどうかは分かりません。その判断は「業種・業態」なのか「企業規模」なのか、あるいは「安定感」のようなイメージなのか…。あなた自身の価値観で測ることが大切です。仕事内容も同様です。決められた役割の仕事を淡々とこなせばいい仕事がしたいのか、自ら模索し挑戦できる環境を求めているのか、あなた自身の価値観が重要なのです。
これから“等身大の東京濾器”をお伝えします。あなたにとって、良い面も悪い面もあると思います。もちろん、この場で全てを伝えきれるとは考えていません。ただ、このスタートラインを、あなたにとって最高の形に整えられればと思います。

我々が生み出しているものは「Clean & Saving」という価値観。

私どもは、もともとエアクリーナやオイルフィルタ、燃料フィルタ等、フィルタ関連の製品を生産することからスタートした会社であり、それらはいまも主力製品のひとつになっています。そして、現在のメイン事業は、自動車の排ガスの触媒関係の仕事。それ以外にエンジンの熱交換器などもあり、つまり一言で言えば「自動車のエンジンの、空気の入口から出口に至る様々な主要部品」を製造・販売している部品メーカーです。
触媒もクリーナもフィルタも、そのほかの製品も、どれもが空気をきれいにし、燃費効率を向上させるものがほとんど。このような事業内容、ものづくりの姿勢を我々は「Clean & Saving」という言葉にし、現状の製品群を端的に表すと同時に「地球環境、自然環境の保護に少しでも役立てる製品を」という開発思想を表現しているのです。
これから新たに開発していこう、取り組んでいこうとしているものも「Clean & Saving」が基本ですが、現状に固執しているわけではありません。あとで述べますが、自動車業界を取り巻く状況は目まぐるしく変化し、不確定な要素が多々あります。いまは想像できないような製品が、将来、求められるようになるかもしれず、自動車以外の分野の比重を高めていくことになるかもしれません。少なくとも、当社が生み出している「Clean & Saving」の価値観が否定される社会にはならないと思いますが、人々の価値観にも“絶対”はありません。
大切なのは変化の流れを正確に把握し、いま流れのどこにいるのかを見誤らないこと。「Clean & Saving」に書き加える新たな価値観を、あなたが創造する可能性も大いにあるのですから。

創業以来、長きにわたって培われてきた「自主独立」の精神。

「Clean & Saving」と並んで、当社を表すもうひとつ言葉が「自主独立」です。
過去、日本の多くの自動車部品メーカーは、各自動車メーカーの系列という形で発展してきました。系列メーカーからの仕事がほとんどで、極端な例ですが「うち以外の自動車メーカーの仕事をしたら、二度と仕事は出さない」という話が昔はあったのです。しかし当社は、創業当時からどこの系列に属していませんでした。それが可能だった理由は、資本関係がなかったということがひとつ。そして、それ以上に「技術を縛られることなく、技術で勝負したい」というチャレンジャー・スピリッツがあった。系列に入ることで得る安定より、系列から外れることで得る自由さと、幅広いフィールドを求めたのだと思います。
ただそれも昔の話。現在の自動車業界は、系列の部品メーカーを拘束するような形をとっていません。むしろ、自社以外の仕事も経験させることで競争力をつけるように働きかけています。その面でも、ここ10年ほどの間に業界全体が大きく変化しています。その変化に対応できなかった部品メーカーは淘汰されていきましたし、もともと自主独立で“狩猟民族的”にやってきた当社は、競合他社より一歩先んじることができたと思います。

「自主独立」だからこそ求められる“挑戦者”の姿勢。

逆に、自主独立で自由に勝負することのデメリットもあります。
当社の開発する製品は、どこの自動車メーカーでも使える汎用品や標準品ではありません。ひとつの製品をつくって、何社にも売るというものではないのです。例えばA社の新しいエンジンとか、B社の新車種の開発に合わせて、我々も一緒に開発していく。あるメーカーが新しい車種を開発する場合、当然エンジンも性能を向上させていくことになります。その開発段階で次々と生まれてくる「こうしたい」という要望や課題に、設計や製造・生産技術で応えていくのですが、自動車の開発は非常に長いスパンで行われます。設計・開発から品質確保のための管理体制を整備し、最終的に車両が販売されるまでに、約2年の時間を要したりするのです。
その間、常にカスタマイズしていくのというのは、かなり手のかかること。受注から生産管理までの調整が難しく、複数のクライアントからの依頼に、同時に対応していくには人員的な限界があります。一社のみの製品を下請けで製造する企業との違いは、そこに最も出てくるかと思います。特にいまは、開発と生産のそれぞれが「国内で国内向け製品を」「国内で海外向け製品を」「海外で国内向け製品を」「海外で海外向け製品を」というように複雑化していますから。「言われた通りにしました」という姿勢では、簡単に取り残されてしまうのです。

「技術力」という言葉が表す意味も多様化している。

かつては「こういうものを開発したいから、これは東京濾器に頼もう」と、当社の技術力を指名で買っていただける時代でした。しかし近年は、そうではなく「こういうものを次のエンジンに使いたい」と各部品メーカーに声を掛けて、「いつまでに、いくらでやれるかを提示するコンペ形式がほとんど。つまり、純粋に技術力だけでは勝負できないケースが増えてきています。
コストで判断される比重が高くなっている上に、厳しい価格で受注したものを、収益を出すように開発をしていくという、マネージメントの難しい仕事が多いのです。

また、リコールに対する国内外の意識変化も軽視できません。製造業にとって不良率をゼロにできないことは常識なのですが、「不具合が出たら“その物”を修理、交換する」というスタンスでは許されません。0.001以下の割合で発生した不良でも、市場に「1」が出回れば全てを回収しなければいけない。みなさんもそのようなニュースを時折目にしているでしょう。驚くことに、去年日本で交換対象になった車は、年間の生産台数よりも多いほどなんですよ。
技術力と一口に言いますが、難しいものを生み出す技術力も、不良率をゼロに近づける技術力も、品質を高い水準で一定に保つ技術力も、どれもが重量なのです。
新しい技術を開発しようとすれば、当然そこには未知のリスクがある。十分に評価してから商品化していても、実際に市場に出回らなければ見えてこない問題もある。新しい技術開発にチャレンジし続けていくには、こうしたリスクに対する覚悟も必要なのです。
競合する部品メーカーの中には、リスク回避して「新しい技術開発よりも、安全な物をコスト優先で安くつくる」という戦略を取る会社もあります。しかし自動車はどんどん進化し、自動車メーカーは新しい技術を求めてきますから、我々の戦略は「挑戦し続けること」です。
常に競争する相手というのは、日本でも海外でも、自分たちより一回りも二回りも大きいところ。
おそらく誰もが名前は知っているメガサプライヤーばかりです。だからこそ、規模では負けても、多様化・多彩化した技術では負けられない。これが非常に大きな課題でもありますし、やりがいや楽しみでもあるのです。

社会の変化、自動車業界の変化にどう対応していくか。

今後益々、環境保全の方向性は世界的に推し進められていくでしょう。そのひとつである自動車の排ガス規制も、どんどん厳しくなりますから、自動車メーカー各社は触媒でどこまで対応できるかを想定してエンジンを開発していきます。つまり当社の技術と製品は、いま以上に非常に大きな意味を持つことになると考えられます。
そこには当社の優位性と将来性があると同時に、どんどん高くなっていく要求レベルに応えていく必要性も生じます。また、内燃機関の技術全体が中期的にどのように進んでいくか、トレンドを見極めながら先行開発をしていく必要もあるでしょう。
いま自動車業界を世界的に見て、どういう方向に進んでいくかを判断することは、ものすごく難しい問題です。ガソリン車やディーゼル車がどう残るのか。EV(Electric Vehicle/電気自動車)はどこまで普及し、中間にあたるハイブリッドやプラグインハイブリッドの流れはどうなっていくのか…。また、そこに国際基準や各国の規制が絡んでくるのですから、大手企業であっても自社だけで全ての可能性に対応していくことは実質的にできなくなっています。ライバル企業同士が部分的な技術提携をするなどして乗り越えようとしていますが、本当に揺れている時期なのです。
自動車というのは、いかに優れた部品を集積し、いかにそれらを巧く組み合わせていくかという“技術をすり合わせていく産業”です。部品をいくら集めても、部品の性能や能力をすり合わせて設計しなければ成立しない。“すり合わせの技術”ともいわれていますが、それが非常に大変で、重要な業界なのです。

4つのファンクションがコラボレートし、“ものづくり”を完結させる。

当社のものづくりは「営業による受注」と同時に「要望に応える設計・開発」が始まり、さらに「量産に向けた生産技術と管理体制」を構築していくことになります。そしてその途中、必要に応じて「最適な物を仕入れる“目利き”の購買活動」がリンクしてきます。
この4つのファンクション(職務・役割)が、互いに巧くコラボレートしないと、ものづくりは成功しません。例えば、いい設計はできても、実際の生産技術に合致しない。製造はできても、コストがかかりすぎて採算に合わない。そのようなことが起きれば事業としては失敗で、4つのファンクションのうちのひとつだけが「成功した」とは評価できません。
マスコミなどで「日本が誇る職人技」という類いの話を見聞きすると、ものづくりにおける天才的な“個の力”に憧れるかもしれません。しかしいまの製造業は、部署や組織の垣根を超えて恊働し、プロジェクトを推進することが求められています。先ほどお話したように、大手自動車メーカーが企業間で連携を進めるのも、単に資本の問題ではないのです。 ですから私は「営業」「開発」「生産」「購買」の、四位一体のチームワークを常に重視しています。部署間で張り合ったり、いがみ合っていては、前に進まない。「互いの役割を尊重する」という姿勢は、口で言うほど簡単なものではありませんが、それだけにチームとしてまとまってプロジェクトを成功させたときの喜びは、経験した人間にしか分かりません。とても言葉では言い表せない大きさなのです。

ものづくりのチームは、優れたサッカーチームのように。

例えば樹脂を難しい形状で成形する場合、金型をどうつくればできるか、あるいはできないかということを理解して設計しないと、実際には量産性がなかったり、非常にコストが高くなったりしてしまいます。そういう技術的な情報の交換や、議論をする場が、これからますます必要になるはずです。
海外では「私は作る人」「私は設計する人」と、それぞれの持ち場が明確に分かれた働き方をする国が多いのですが、日本の場合、互いに相手の立場も考えて、一体となって知恵を出していける素養と土壌があると思います。この“強み”を出していくことこそが、世界で勝負するための最大の武器だと考えています。それを可能とするためには、誰もが自分の役割だけで閉じこもっていてはいけません。自分の個性や強みを出せるところは、4つのファンクションを横断してあるわけですから。

私が若い頃のサッカーは、バックスと中盤、フォワードは全部役割が分かれていて、後ろは守るだけというスタイルでした。そうではなく、いまのサッカーのように流動的にオーバーラップしながら、攻撃は厚みを増し、守備をフォローし合うスタイルですね。ミスがあるのは当たり前。問題があって当たり前。攻守がお互いにカバーリングできるチームが強いんです(笑)。
これだけ難しい時代に、この世界に飛び込んでこようとする人には、チャレンジ精神を持ち続けてほしいと思います。自分にとって未知な領域に足を踏み入れるわけですから、戸惑うことも当然あるでしょう。戦うフィールドは日本だけではなく、求めれば海外にもありますから、そういう部分でもどんどんチャレンジしてほしい。一緒に、チャレンジを楽しんでほしいと思います。
難しい時代だからこそ、課題と可能性は表裏一体です。自動車関連の技術は日々進歩して先進諸国の需要に応えていきますし、自動車を使うニーズというのは中国やインド、東南アジア諸国、まだまだ世界中で広がっていきます。「排ガス規制は、まだこれから」という段階の国も多いですから、当社の製品に対するニーズは非常にある。課題も多くありますが、まだまだそれ以上に魅力の多いマーケットです。
忙しいと目先のことに目がいきがちですが、そういう夢を、様々な角度から語り合えるチームをつくってほしいと思います。

そして最後に。

この長文を最後まで読んでいただけたことに、まずは率直に感謝し、この数十分の時間があなたにとって価値あるものであったことを願います。
事業案内や製品紹介では伝わらない我々の“等身大の姿”を、キレイゴト抜きでありのままに話したつもりですが、まだまだ伝え切れていない部分もあるかと思います。また、人それぞれに「もっと知りたい」と感じる部分は異なるでしょう。足りないところは、採用までの間にも、入社してからも、様々な形で話し合える機会をつくっていきたいと思います。
「人と人」と同じように「組織と人」にも縁があり、相性があります。社会人になれば人生の長い時間を会社で過ごすことになるのに、そこがやりがいのある時間でなかったら、結局「給料もらって自分の人生の時間を売っている」のと同じになってしまいます。25歳の“今日”は二度と来ない。40歳の“今日”も二度と来ない。“いま”という時間は“いま”にしか存在しないのだから、尊厳をお金で売り渡すようなことはしてほしくありません。
私も、経営者としてチャレンジの途上にいます。未知へのチャレンジをやりがいに転換できる、そんなパワーを持つ人にとって最高の舞台を完成させるために。